【クラビット】おとなの女性、膀胱炎のおくすり。妊婦さん、閉経後の方は注意が必要

クラビット

今回は、おとなの膀胱炎で使用されるおくすり、クラビット(レボフロキサシン)。呼吸器・皮膚科・耳鼻科などさまざまな領域で使われる抗菌薬です。よく使われるおくすりですが、妊婦さん、閉経後の方には注意が必要です。

私は、薬科大学卒業後、医薬品メーカーの研究開発部門で3年間勤めた後、 調剤薬局で20年以上、患者さまにおくすりの説明をさせていただいております。

膀胱炎のおくすりとして使われるクラビットについて、やさしく解説したいと思います。

クラビットの詳しい効果、用法、用量、副作用については、くすりのしおりをご覧ください。

おくすりの効果、副作用については、個人差があります。

膀胱炎にかかった時のクラビットの飲み方

膀胱炎で使用されるおくすりは、クラビットが多いように思います。

処方例としては、以下の通りです。

クラビット500mg 1錠 1日1回 3日間

レボフロキサシン500mgというおくすりも処方されますが、これはクラビットのジェネリックなので、同じ成分のおくすりということになります。

またクラビット250mg、レボフロキサシン250mgというおくすりもあります。用量が500mgの半分のおくすりですね。250mgのおくすりの場合は、症状により1錠または2錠で処方されます。

クラビットは1日1回処方です。処方当日は、お薬をもらったらすぐ、または次の食事の後に服用するように指示されることが多いです。次の日からはドクターの指示通り服用してください。

妊婦さん

クラビットは、妊娠・妊娠している可能性がある方へは禁忌(投与しないこと)となっています。妊婦さんの場合は、他の抗生剤を使用します。詳しくは、クラビット以外のおくすりは? 3.妊婦の膀胱炎に記載します。

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。

クラビット錠250mg/クラビット錠500mg/クラビット細粒10%添付文書

閉経後の方

高齢女性(閉経後)の場合、キノロン系耐性率が高いことよりクラビットは第一選択薬となりません。(クラビットはキノロン系のおくすりです。)耐性率が高いということは、抗菌薬が効きにくくなる、または効かなくなることを意味します。これを薬剤耐性といいます。閉経後の方の場合、クラビットは第二選択薬にはなりますが、第一選択薬としては別のおくすりを使うことが多いようです。

大動脈瘤、大動脈解離を引き起こすことがあるので、観察を十分に行うとともに、腹部、胸部又は背部に痛み等の症状があらわれた場合には直ちに医師の診察を受けるよう患者に指導すること。

クラビット錠250mg/クラビット錠500mg/クラビット細粒10%添付文書

上記のような記載もあります。大動脈瘤は、女性より男性、年齢では70歳代が最も多いとされている疾患です。男性に多いとされますが女性の方にも発症します。基礎疾患があり高齢の方へは特に注意が必要です。

同時服用に注意が必要なおくすり

相互作用、併用注意

  • フェニル酢酸系又はプロピオン酸系非ステロイド性消炎鎮痛薬、フルルビプロフェン等
  • アルミニウム又はマグネシウム含有の制酸薬等、鉄剤、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、硫酸鉄等
  • クマリン系抗凝固薬、ワルファリン
  • QT延長を起こすことが知られている薬剤、デラマニド等
  • 副腎皮質ホルモン剤(経口剤及び注射剤)、プレドニゾロン、ヒドロコルチゾン等
クラビット錠250mg/クラビット錠500mg/クラビット細粒10%添付文書

女性の方で服用が多いのが酸化マグネシウム(便秘のおくすり)です。

同時に服用すると、クラビットの効果が減弱されるおそれがあるので、クラビットを先に服用し、1~2時間あけてから酸化マグネシウムを服用する必要があります。

逆に酸化マグネシウムを先に服用した場合は、クラビットの服用を3~6時間あける必要があるため、注意が必要です。

クラビットの副作用

主な副作用として、発疹、不眠、めまい、頭痛、吐き気、嘔吐、下痢、腹部不快感、食欲不振、消化不良などが報告されています。このような症状に気づいたら、担当の医師または薬剤師に相談してください。

くすりのしおり

下痢症状の場合は、整腸剤を併用してクラビットを飲み切ることもあります。発疹の場合は、服用を中止します。症状が出たら、担当のドクターに相談しましょう。

以上の副作用はすべてを記載したものではありません。上記以外でも気になる症状が出た場合は、医師または薬剤師に相談してください。

クラビット以外のおくすりは?

感染症治療ガイドラインより、主に使用されるおくすり(第一選択薬)のみ抜粋です。

  1. 急性単純性膀胱炎(閉経前)
    • クラビット(レボフロキサシン)1回500mg 1日1回 3日間
    • シプロキサン(シプロフロキサシン)1回200mg 1日2~3回 3日間(グラム陽性菌が疑われる場合または検出されている場合は選択しない。
    • オゼックス、トスキサシン(トスフロキサシン)1回150mg 1日2回 3日間
  2. 高齢女性(閉経後)の膀胱炎
    • ケフラール(セファクロル)1回250mg 1日3回 7日間
    • オーグメンチン(クラブラン酸カリウム/アモキシシリン)1回125mg/250mg 1日3回 7日間
    • セフゾン(セフジニル)1回100mg 1日3回 5~7日間
    • フロモックス(セフカペンピボキシル)1回100mg 1日3回 5~7日間
    • バナン(セフポドキシムプロキセチル)1回100mg 1日2回 5~7日
  3. 妊婦の膀胱炎
    • セフゾン(セフジニル)1回100mg 1日3回 5~7日間
    • フロモックス(セフカペンピボキシル)1回100mg 1日3回 5~7日間
    • バナン(セフポドキシムプロキセチル)1回100mg 1日2回 5~7日
    • ケフラール(セファクロル)1回250mg 1日3回 7日間

高齢女性(閉経後)の膀胱炎に対して、キノロン系(クラビットはこの系統のくすりです)耐性率が高いことよりクラビットは第一選択薬となりません。

市販で膀胱炎に効果のあるお薬はありますか?

おくすりではありませんが、50歳以上の女性においてクランベリージュース飲用が再発性膀胱炎を予防するという報告があります。しかし、評価は一定ではないようです。試してみるのは良さそうですね。

他にも、漢方薬も市販のおくすりで購入できます。猪苓湯などから試してみるといいと思います。

ツムラ漢方猪苓湯エキス顆粒A(ちょれいとう)

まとめ

おとなの膀胱炎のおくすり、クラビット(レボフロキサシン)について説明しました。膀胱炎では、よく使われるおくすりです。ただし、妊婦さん、閉経後の方など注意が必要な方もいます。

おくすりを服用するときには、ドクターや薬剤師に、ご自身の今の状況をきちんと伝えることも大切です。しっかり水分を摂るなど膀胱炎になりやすい方は、予防も意識しましょう。

参考

JAID/JSC 感染症治療ガイドライン 2015 ―尿路感染症・男性性器感染症―

ニューキノロン系抗菌薬と制酸薬の同時服用はOK?

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